山本未央税理士事務所

掛川市の税理士、山本未央税理士事務所。税務会計についてご相談ください。

文書作成日:2018/09/11
法人成りと原稿料からの源泉所得税の徴収義務

[相談]

 私はインターネット集客をしたい企業を対象に、ホームページやブログの制作サポートの事業を行う会社を経営しています。
 当社では、単に顧客のホームページ等を製作するだけでなく、そのホームページに掲載するwebコンテンツ(自社サイトに掲載するニュース記事などのこと)の作成代行も請け負っており、その情報提供料収入を得ています。
 最初は個人事業(従業員なし)として立ち上げたのですが、そのwebコンテンツ事業の売上高が順調に伸びたこともあり、今年6月に法人成りをしました(なお、まだ従業員は雇っていません)。
 webコンテンツの原稿作成は外部専門家に依頼し原稿料を支払っていますが、その原稿料支払について、個人事業の場合と法人の場合とでは、所得税法上の取扱いが異なると同業者から注意されました。その違いとは何でしょうか?


[回答]

 会社(法人)が原稿料を支払う場合には、個人事業のときとは異なり、原稿料支払のたびに原稿料から「源泉所得税」を控除して、これを原稿料支払月の翌月10日までに国に納付する必要があります。


[解説]

1.所得税の源泉徴収義務とは

 個人事業者(家事使用人以外の従業員を雇っている人)や会社(法人)が、従業員に給与を支払ったり、税理士報酬、原稿料報酬などを支払ったりする場合には、その支払のたびに、支払金額に応じた税金(所得税および復興特別所得税)を差し引くことになっています。
 このような、支払う給与や報酬から税金を差し引いて国に納める義務のある者(個人事業者や会社)を「源泉徴収義務者」といいます。
 源泉徴収義務者は、その差し引いた税金(以下「源泉所得税」といいます)を、原則として、給与や報酬などを実際に支払った月の翌月の10日までに国に納めなければならないこととされています。
 したがって、ご相談の場合には、会社が原稿作成者に原稿料を支払うたびに原稿料から源泉所得税を控除し、その税金を原稿料支払月の翌月10日までに国に納付しなければならないこととなります(原稿作成者には、源泉所得税を差し引いた後の金額を支払うこととなります)。


2.源泉所得税の納期の特例と原稿料から差し引いた源泉所得税の関係

 給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者は、源泉所得税を、毎月ではなく半年分まとめて、それぞれ1月と7月に納めることができる特例があります。これを「源泉所得税の納期の特例」といいます。
 ただし、この特例の対象となるのは、給与や退職金から差し引いた源泉所得税と、税理士、弁護士、司法書士など一定の国家資格者に対する報酬から差し引いた源泉所得税に限られています。
※原稿料から差し引いた源泉所得税は、この「源泉所得税の納期の特例」の対象とはなっていません。このため、原稿料から差し引いた源泉所得税は、上記1.の原則通り、原稿料支払月の翌月10日までに国に納付しなければならないこととなりますので、ご注意ください。


 このように、個人事業者であったときと法人設立後それぞれにおいて、従業員を雇っていないという点は同じでも、税務上課せられる義務が異なる場合があります。
 特に、会社に課せられる所得税の源泉徴収義務は、そのルールや計算方法が非常に複雑です。源泉所得税の納付を怠った場合にはペナルティが課される場合もありますので、法人成りをご検討されたり、法人を設立されたりした場合には、ぜひお早めに当事務所へご相談ください。


[根拠法令等]
 所法6、183、184、204、216、復興財確法28など


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