今回は、SNSで公式アカウントを運用している医院からのご相談です。
当院では、InstagramやLINEなどのSNSで公式アカウントを開設し、患者が増えるような広報活動を行っています。職員には、業務の一部として投稿をお願いしています。
今のところSNSに関するトラブルはありませんが、メディアでも、たびたびSNSの炎上などが取り上げられているため、SNSの運用で気をつけておくことを確認したいと思っています。
SNSの特性上、様々な属性、価値観や考えを持つ不特定多数の人が閲覧する可能性があるため、一見、問題ないような投稿であっても、投稿者の意図しない形で伝わり、拡散されることが想定されます。
一旦炎上してしまうと、医院に対する影響は極めて大きく、消すことができないデジタルタトゥーとして残ることもあります。教育・研修を実施し、運用ルールの作成など事前対策を行った上で、SNSを活用するとよいでしょう。
SNSを運用するには、まずはSNS利用の目的を明確にすることが重要です。その上で、利用目的に沿った投稿内容を厳選するとともに、表記方法やリプライ・DM(メッセージ)があった際の取扱いを決めておく必要があります。
また、炎上や情報漏えいのリスクを中心に、SNS運用に関する教育・研修を事前に実施することが望まれます。
例えば、患者が写っている写真を投稿する場合、必ず患者に同意を取ることはもちろん、場合によっては患者の家族にも同意を得た上で、必要に応じてモザイク処理をしてから投稿するといった対応が必要です。
職場の雰囲気を伝えるため、職員の写真を投稿することもありますが、退職後の写真の取扱いについても事前に確認する必要があります。
SNSに投稿する前には、別の職員が投稿内容をチェックするといった管理体制の構築も重要です。
医院の公式アカウントから投稿する際には、院内備え付けのパソコンやタブレットなどの端末を利用するといったルールの策定も考えられます。
SNSはアカウントIDとパスワードがあれば、場所や時間を選ばず投稿することができますが、業務の一部としてSNSを運用する以上、医院が労働時間の把握や管理ができる体制を整えておくことも重要です。
今や医院の運営において、SNSは効果的なツールとなりつつあります。医院には、リスクを踏まえた上での効果的な活用が求められています。