[相談]
私は令和5年に、自宅(新築マンション一室)を住宅ローンを利用して購入し、令和5年分の所得税確定申告で住宅ローン控除の適用を受けました。
令和6年に入り、諸事情でその自宅を売却したのですが、購入金額よりも高い価格で売却できたことから、売却益(譲渡所得)が2,500万円発生しています。
このため、令和6年分の所得税確定申告にて「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」の適用を受けたいと思っているのですが、私はその特例の適用を受けることができるのでしょうか。教えてください。
[回答]
ご相談の場合、令和6年分の所得税確定申告で居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例の適用を受けることは可能ですが、令和5年分に係る所得税の修正申告と、令和5年分の確定申告で適用を受けた住宅ローン控除額に相当する税額の納付を行うことが必要となります。詳細は下記解説をご参照ください。
[解説]
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例とは、個人の有する資産が、居住用財産を譲渡した場合に該当することとなった場合には、その所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円までを控除することができるという特例です。
住宅ローン控除の規定は、個人が、居住用家屋等をその居住の用に供した日の属する年分の所得税について、上記1.の居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例等の規定の適用を受ける場合又はその居住の用に供した日の属する年の前年分もしくは前々年分の所得税についてこれらの規定の適用を受けている場合には、適用しないと定められています。
また、居住用家屋等をその居住の用に供した個人が、その居住の用に供した日の属する年の翌年以後3年以内の各年中にその居住の用に供したその居住用家屋等以外の資産の譲渡をした場合において、その人がその譲渡につき居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例等の規定の適用を受けるときにおいても、適用しないと定められています。
上記2.後段の資産の譲渡をした個人が居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例の適用を受ける場合において、その譲渡をした日の属する年の前3年以内の各年分の所得税につき住宅ローン控除の規定の適用を受けている場合には、その個人は、その譲渡をした日の属する年分の所得税の確定申告期限までに、その前3年以内の各年分の所得税についての修正申告書(確定申告書を提出していない個人にあっては、期限後申告書)を提出し、かつ、その期限内にこれらの申告書の提出により納付すべき税額を納付しなければならないと定められています。
したがって、今回のご相談の場合、令和5年分の所得税確定申告で住宅ローン控除特例の適用を受けていても、令和6年分の所得税確定申告で居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例の適用を受けることは可能ですが、住宅ローン控除の適用を受けた令和5年分に係る所得税の修正申告と、令和5年分確定申告で適用を受けた住宅ローン控除額に相当する税額の納付を行うことが必要となります。
[参考]
措法35、41、41の3など